2009年10月8日木曜日

静脈血栓塞栓症

トロント大学から講師を招いて、静脈血栓塞栓症(VTE: venous thromboembolism)に関する講演会があった。

講師はVTEの予防に関するランダム化研究が50年前から行なわれており、また25年前から予防ガイドラインが存在するという長い歴史を引き合いに出しつつも、実際には予防策は必ずしも十分に行なわれていないという現状を紹介していた。

ある研究では概ね80%の病院においてしか、VTEの適切な予防策が講じられていないとのこと。
科別では ICU で最も徹底して行なわれており、ついで外科系で、内科系では実施率は低い。

リスクのない少数の患者では予防策は必要ないが、全体の85%程度と考えられるリスクを伴う患者では、100%施行すべきという考え。
あらゆるVTEの70%は病院内で発生しているため、血栓予防があらゆる入院患者の安全管理の第一に位置づけられると主張していた。

きちんと実施させるためには、シンプルなやり方が良いと再三繰り返していた。
例えば数ある抗凝固薬の中から1~2個、機械的な予防策から1個、合計2~3個を選ぶようなシンプルさが重要とのこと。

低分子ヘパリンが低用量未分画ヘパリンにとってかわったのもシンプルさを重んじた面が大きく、
① 投与回数が少ない、
② HIT の頻度が40倍少ない、
③ 全ての患者に対して使える、
④ 両者のコストの差は少ない
ことを原因として挙げていた。

本日の備忘録 (ネイティブに教えてもらった英語)
硬膜外穿刺などの際に、"a little pinch here (ちょっと痛いですよ~)" とか、"a little pressure (ちょっと押される感じがしますよ~)" などと麻酔科医が言っていることがある。
これはまあわかるのだが、"freezing" という言葉がさっぱりわからなくて困っていた。
今日はオペ室に日本でホームステイをしたことがあると言う医学生がたまたま実習で来ていたので尋ねてみたら、 概ね freezing = numb (しびれた)という理解で良いとのこと。
そういう freezing の使い方は聞いたことがないと思って numb の方を調べてみたら、「しびれた」のほかに「(寒さで手が)かじかんだ」と書いてあった。
う~ん、これは使える。

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