3/18 (木) 晴れ夕方から雨
今夏の麻酔科学会での学術集会を控え、昨日は都内の E 先生のクリニックにてアナフィラキシー・ショックの際の原因薬物の特定方法について学んだ。
E 先生は自分が研修医の時のオーベンで、現在は皮膚科で開業しておられる。
自らプリック・テストの被験者となる機会を得た。
前腕掌側に陽性コントロールとしてのヒスタミン液と陰性コントロールとしての生食液をたらし、ランセットで皮膚を刺す。
http://www.yayoi841.co.jp/product/product.cgi?cid=m0409&id=20041111114414
皮膚は傷ついているはずなのに、痛みを全く感じなかった。
期待通りまもなくヒスタミンの方が赤くなり、かゆくなってきた。
赤くなった場所ではなく、膨隆のできた箇所の径を測る。
これは誰がやっても同様にできる点で、信頼性が高いとのこと。
この点、皮内テストは技術的に難しい上に結果の解釈も困難になる。
アレルギーの原因薬物の特定はきわめて重要なことなので、自分としては「すでにできあがった領域」というイメージを持っていたのだが、どうやらそうではないらしい。
さまざまなテストにはつねに偽陽性や偽陰性の問題がつきまとっており、この分野自体が学問の対象だということがよくわかった。
したがって麻酔科医がこの分野について本当の意味で理解することは困難であるにしても、自分なりに消化した上でイメージを提示できるようにすることが重要であるように感じられた。
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おととい書いた FEV1% について、教授とのメールの往復でいろいろと教わった。
知識を自分のものだけにしておくのは惜しいので、インターネット上の備忘録として残しておきたい。
Gaensler の1秒率 (FEV1.0%) =(FEV1.0 / FVC)× 100 (%) 分母が努力性肺活量
Tiffeneau の1秒率 (FEV1.0%) =(FEV1.0 / VC)× 100 (%) 分母が肺活量
予側肺活量1秒率=(肺活量/肺活量予測値)×(1秒量/肺活量)=1秒量/肺活量予測値
これは身体障害者福祉法で障害者等級に使用されている指標で、Tiffeneauの1秒率と%VCを掛け合わせたもので、肺活量予測値に対する1秒量の比率を示すものであって、拘束性障害と閉塞性障害とを総括的に示すもの。
似たものとして、%FEV1.0 = (1秒量実測値/1秒量予測値)×100 (%) というのもある。
出典は「臨床検査法提要」より。
国際的な基準としては以下の記載がある。
GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)によるCOPDの病期分類
GOLDの病期分類は、FVC検査における努力性肺活量、1秒量さらに、その予測値を用いて判定する。
FEV1.0/FVC(%) 1秒率 (1秒量/努力性肺活量)
%FEV1.0(%) %1秒量 (1秒量/予測1秒量)
病期分類はこの2つの測定値から判定され、下表のような形にまとめられている。
COPDの病期分類(2003年版)
0: At Risk FEV1.0/FVC ≧ 70% スパイロメトリーは正常 慢性症状(咳、痰)有り
I: Mild COPD FEV1.0/FVC < 70% FEV1.0 ≧ 80% predicted 慢性症状(咳、痰)の有無を問わない
II: Moderate COPD FEV1.0/FVC < 70% 50% ≦ FEV1.0 < 80% predicted 慢性症状(咳、痰)の有無を問わない
III: Severe COPD FEV1.0/FVC < 70% 30% ≦ FEV1.0 < 50% predicted 慢性症状(咳、痰)の有無を問わない
IV: Very Severe COPD FEV1.0/FVC < 70% FEV1.0 <30% predicted または FEV1.0 < 50% predicted で慢性呼吸不全
日本人の1秒量予側式(予側1秒量)は
男性 FEV1 (L) = 0.036 × 身長 - 0.028 × 年齢 - 1.178
女性 FEV1 (L) = 0.022 × 身長 - 0.022 × 年齢 - 0.005
1秒量の予測式 (Berglund)
男 = 34.4 × 身長 (cm) - 33 × 年齢 - 1000
女 = 26.7 × 身長 (cm) - 27 × 年齢 - 540
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市内の小学校が卒業式ということで、お互いに子供たちを預かったり行き来がはげしい一日だった。
近所の子供たちと遊ぶ機会があったが、ふだん会わないだけにずいぶん成長したな~と驚くことが多い。
一方で当たり前なのだが、近所のおじさま、おばさま方は全くと言っていいほど変わっていなかった。
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