2009年11月26日木曜日

大量出血と外傷

11/25 (水) 一日中雨

今朝は大量出血と外傷に関する講演があった。
演者が女性の場合は早口なことが多いが、今回もその例外ではなく、ついていくのがたいへんだった。

内容は主に病院の大量出血プロトコールに関することと、一部で話題になっている血液製剤を1:1:1の割合で投与するという話の2点だった。
後者に関して、備忘録として記録しておくことにする。

外傷に基づく大量出血が発生した時に凝固障害を是正するために血液製剤(赤血球:Plasma:血小板)を1:1:1で投与するというのは、エビデンスが十分にあることではなく、もっぱら経験に基づく話のようである。
ここ何年かで、外傷の世界を中心に論文が蓄積されている。

Hirshbelg et al. J Trauma 2003; 54:454-463
コンピュータを用いたシミュレーションで、Plasmaと赤血球輸血の最適な比が2:3であることが求められた。

Borgman MA et al. J Trauma 2007; 63: 805-813
24時間以内に10単位以上の赤血球を輸血された患者をレトロスペクティブに調査。投与したPlasmaと赤血球の比によって3群に分けたところ、Injury Severity Score は同等だったにもかかわらず、比が高い(plasmaがたくさん投与される)ほど出血死および全体の死亡率が低いことが示された。

Sperry JL et al. J Trauma 2008; 65: 986-993
鈍的外傷を伴った出血性ショックに陥り、しかも8単位以上の赤血球輸血を受けた患者を調べたところ、FFPとRBCの投与数の比が1:1.5よりも高い(FFPがたくさん投与される)と輸血量が有意に減り、24時間の死亡率が低下するが、逆にARDSに陥るリスクが2倍近くに上昇することが明らかにされた。

実際に1:1を達成するのは困難で、1:1を目指すと1:2程度になるという人もいる。
ただし、1:3は避けた方がいいらしい。
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今日の症例の指導医W先生によると、カナダでは血液不足が深刻で、そのために予定手術が延期されることもあるらしい。
聞きまちがえでなければ、O(-)型が足りないとおっしゃっていた。

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