2009年11月30日月曜日

Hydromorphone についてさらに

11/29 (日) くもり

ハイドロモルフォンについて、また別の総説を読んでみた。

Quigley C et al. A systematic review of hydromorphone in acute and chronic pain. J Pain Symptom Manage 2003; 25: 169-178

ハイドロモルフォンは1920年代に臨床に取り入れられた古い薬であり、術後痛の管理に広く用いられているだけでなく、癌関連痛の管理の診療ガイドラインにも含まれている。
この総説では術後の急性痛だけでなく慢性痛についても述べられているが、前者についてのみモルヒネと比較しつつ備忘録としてごく簡単にまとめる。

ハイドロモルフォンとモルヒネを比較した研究は14個あり、5つは脊髄に、9つは筋注または静注で投与された。
同程度の鎮痛が得られる量(力価という意味だと思うが)は 7:1 から 5:1 の間で分布しており、ただひとつ筋注で行なった研究ではハイドロモルフォンがモルヒネより 7~10 倍強いという結果だった。

副作用としては悪心、眠気、掻痒が最も多く、用量依存的だった。
ほとんどの研究ではハイドロモルフォンとモルヒネの間で副作用に有意な差がないが、2つの研究でハイドロモルフォンで掻痒の頻度が少なかった。

腹部手術後の患者61人でハイドロモルフォンとモルヒネの IV-PCA を比較した研究では、耐え難い悪心と掻痒のために4人の脱落者が出たが、それらは全てモルヒネ群だった。
プロトコールを完遂した患者では、両者の間の悪心と掻痒の頻度は同等だった。

この総説のまとめとしては、1) ハイドロモルフォンは強力な鎮痛薬であり、2) その効果は用量依存的であり、3) 副作用は他の強力なオピオイドと同等であり、4) 他のオピオイドとくらべて特に優っているというわけではないと書いてあった。
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昨日、コーチからまた空きができたとのメールをもらい、今日もテニスに行ってきた。
ゲーム中心の練習で、1時間15分があっという間だった。

来年春はオリンピックのために、コミュニティーセンターでのインドアテニスは行なわないとのこと。
ちょっと残念。

ついさっき、隣の日本人ワーホリのM君がスノーボードを抱えて帰ってきた。
グラウスに遊びに行ってきたとのこと。
若い連中は仕事も遊びも全力で取り組んでいるという感じがして、ある意味すごいと思う。

2009年11月29日日曜日

Hydromorphone について

11/28 (土) 一日中雨
現地の人によると、例年はいつもくもりがちで時々雨が降る感じだが、今年はしっかり雨が降っているとのこと。

日本とカナダの麻酔の違いの一つとして、使用している薬物が異なることを挙げることができる。
日本でレミフェンタニルやロクロニウムを使うことができるようになったことで少し麻酔が近づいたとは思うが、こちらの臨床でよく用いられるハイドロモルフォンが日本では使えないことは、依然として大きな違いということになると思う。

ハイドロモルフォンは静注にも硬膜外にも用いられるが、今は自分で麻酔をかけているわけではないということもあり、薬物に対する患者の反応を実感としてつかみづらい。
レジデントに訊ねられるたびに「日本では使っていない」と答えるのだが、すると彼らは嬉しそうに説明してくれる・・・というのが常である。

モルヒネと対比して少しハイドロモルフォンについて調べたので、備忘録として残しておく。
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Liu LL et al. Postoperative analgesia and sedation in the adult intensive care unit. Drugs 2003; 63: 755-767. より

術後の鎮痛にはエビデンスには欠けているものの、短期間の使用にはフェンタニルやハイドロモルフォ
ン、長期間の使用にはモルヒネやハイドロモルフォンがすすめられる。(ハイドロモルフォンはどっち
にもいいらしい。)

排泄半減期はモルヒネとハイドロモルフォンは同等(2~4時間)。
静注した場合の Peak effect はモルヒネ 30分、ハイドロモルフォン 20分。
最小推奨量は、モルヒネ 1-4 mg ボーラス、1-10 mg/h 持続、ハイドロモルフォン 0.2-1 mg ボーラス
、1-2 μg/kg/min 持続

モルヒネ
水溶性のために脂溶性のオピオイドとくらべると peak effect が遅い。
静脈拡張作用と心拍数減少作用がある。
副作用:呼吸抑制、鎮静、悪心、イレウス、Oddi 括約筋のスパズム、ヒスタミン遊離から低血圧、頻
脈、気管支のスパズム。
代謝物としての morphine-6-glucuronide が蓄積し、腎不全患者で過度の鎮静をもたらすことあり。

ハイドロモルフォン
半合成オピオイドで、モルヒネの 5-10倍強力。
作用のオンセットと持続時間はモルヒネと同等。
血行動態に与える影響が小さく、ヒスタミン遊離をもたらさない。
モルヒネよりも掻痒、鎮静、悪心、嘔吐を起こしにくいとする報告 (Sarhill N et al. Support Care Cancer 2001; 9: 84-96) あり。
モルヒネと同様にグルクロン酸抱合を受けるが、NADPH reductase の還元も受け、2つの活性代謝産物を生じる。
この代謝産物は親化合物よりも強力な鎮痛作用を持つが少量のため、腎不全の合併や長期間にわたる大量の投与がない限り、臨床的意義はない (Zheng M et al. Xenobiotica 2002; 32: 427-439)。

2009年11月28日土曜日

傘の修理

11/27 (金) 晴れ一時くもり
病院そばの駅で降りると、めずらしく霧で街が包み込まれていた。夕方は雲がなく、月と星が見えた。

先日買った傘は1週間も経たないうちにこわれ、今ではすっかりボロボロになってしまっている。
日本の100円ショップの傘よりももろい印象がある。

さらにもう1本傘を買うという選択肢もなくはないのだが、粗悪な商品に投資し続けるとツキをなくすような気がするし、もっといい傘を買うのは「敵の術中」にはまるだけのような気がする。
しばらくはカナダにいるわけなので、ここは根気よく修理して粗悪な商品ととことんまでつきあうことにしようと思った。

写真は左が針と糸のセット。
最初から針の穴に糸が通っているので、わざわざ通す必要がない。
2ドル99セントで税金が36セント。

右がボンドだが4個1組で、1個はそれぞれ使い切りになっている。
4ドル49セントで税金が53セント。
GSTとPSTの両方で消費税が12%というのは高いようなするが、日本もやがてそのくらいになるかもしれない。

手元の割れた傘をボンドで直すのは容易だった。
針と糸で傘の布地と骨の位置関係を修復するのはちょっと難しかったが、布地にいろいろな方向から力をかけてみたりして僧帽弁形成術のような気分でじっくり取り組んでみた。

2009年11月27日金曜日

麻酔は肉体労働

11/26 (木) くもりのち夕方から晴れ
朝起きた時は地面が濡れていたが、自分が起きている間はめずらしく1秒も雨が降らなかった。

最近、朝の1例めの導入だけ見学し、その後は研究室で原稿を書いたり文献検索などで1日を過ごすというパターンが続いている。
そのせいかもしれないが、最近、夕方ほとんどおなかがへらない。
フードコートで食べる昼食がボリューム盛りだくさんということもあるかもしれないけれど。

今日はレジデントのA先生が、午後に興味深い症例があると言う。
患者情報をここに書くわけにはいかないが、彼は身振り手振りをまじえてこーんなに大変な症例なんだよ~と話してくれた。

話をきくと確かに大変そうな症例なので、見学させてもらうことにした。
自分が直接麻酔をかけたわけではないが、昼過ぎに再びオペ室に入り、患者さんの搬送やエコーの準備などを手伝った。

はっと気がつくと時間がずいぶん経ち、出かけなければならない時間となっていた。
3時間ほどオペ室で過ごしただろうか。
たいして働いたわけではないが、すっかりおなかがすいていることに気づいた。

久々の空腹感である。
本当に今さらながらだが、麻酔って肉体労働なんだな~と感じた。
今となっては、空腹に耐えながらメシ交替を待った頃が懐かしい。

2009年11月26日木曜日

大量出血と外傷

11/25 (水) 一日中雨

今朝は大量出血と外傷に関する講演があった。
演者が女性の場合は早口なことが多いが、今回もその例外ではなく、ついていくのがたいへんだった。

内容は主に病院の大量出血プロトコールに関することと、一部で話題になっている血液製剤を1:1:1の割合で投与するという話の2点だった。
後者に関して、備忘録として記録しておくことにする。

外傷に基づく大量出血が発生した時に凝固障害を是正するために血液製剤(赤血球:Plasma:血小板)を1:1:1で投与するというのは、エビデンスが十分にあることではなく、もっぱら経験に基づく話のようである。
ここ何年かで、外傷の世界を中心に論文が蓄積されている。

Hirshbelg et al. J Trauma 2003; 54:454-463
コンピュータを用いたシミュレーションで、Plasmaと赤血球輸血の最適な比が2:3であることが求められた。

Borgman MA et al. J Trauma 2007; 63: 805-813
24時間以内に10単位以上の赤血球を輸血された患者をレトロスペクティブに調査。投与したPlasmaと赤血球の比によって3群に分けたところ、Injury Severity Score は同等だったにもかかわらず、比が高い(plasmaがたくさん投与される)ほど出血死および全体の死亡率が低いことが示された。

Sperry JL et al. J Trauma 2008; 65: 986-993
鈍的外傷を伴った出血性ショックに陥り、しかも8単位以上の赤血球輸血を受けた患者を調べたところ、FFPとRBCの投与数の比が1:1.5よりも高い(FFPがたくさん投与される)と輸血量が有意に減り、24時間の死亡率が低下するが、逆にARDSに陥るリスクが2倍近くに上昇することが明らかにされた。

実際に1:1を達成するのは困難で、1:1を目指すと1:2程度になるという人もいる。
ただし、1:3は避けた方がいいらしい。
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今日の症例の指導医W先生によると、カナダでは血液不足が深刻で、そのために予定手術が延期されることもあるらしい。
聞きまちがえでなければ、O(-)型が足りないとおっしゃっていた。

2009年11月25日水曜日

予防接種のその後

11/24 (火) くもり めずらしく雨が降っていないと思ったら夕方からやっぱり雨

予防接種が終わり、気のせいかもしれないが昨夜は何となく熱っぽいような気がした。
本当に熱があると気持ちが弱まるので、あえて測らなかった。
眠りが浅かったせいか、今日は特に午前中、頭痛がした。

昨日の予防接種の時は右腕(季節型)の方が痛かったが、今朝起きた時は左腕(H1N1)がズキズキしていた。
予防接種から30時間近く経過した今日の夕方の時点では、自発痛はほとんどなくなった。
腕の上から穿刺部を圧迫した時に、VAS で右は5、左は15といったところか。
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今朝、自分が入ったオペ室の麻酔の指導医は R 先生だった。
ものすごく若く見えて、日本の後期研修医たちに混じっても違和感がないくらい。

オペ室を出てからフードコートで偶然 R 先生と再会したら、コーヒーをおごってくれた。
自分よりもずっと若く見える人(本当の年令は知らない)にゴチになるのは気が引けるが、ここでは立場が圧倒的に R 先生の方が上なので甘えることにした。

ここでは見ためや年令は関係ないみたいで、しょっちゅう(1週間に2~3回は)、「あなた見かけない顔けど、レジデント?」と訊かれる。
日本だったらこの年でレジデントということはまずありえないわけだが、こっちではそういうこともしばしばあるのだろう。

「いい年をして」とか、「年甲斐もなく」といった言葉とは無縁の業界なのかもしれない・・・という印象を受けている。

2009年11月24日火曜日

予防接種受けました

11/23 (月) 一日中雨 夕方からは霧雨
日本は祝日だろうと思うが、こちらは平日。

先週後半から院内で、全職員対象のインフルエンザワクチン接種が行なわれている。
ICU などの特殊領域で働く職員にはもっと早くから行なわれていたが、ようやく一般職員にまでまわってきたというわけである。

今日は気分的に少しゆとりがあったので、接種してもらいに行ってきた。
問診票のようなものはなく、名前、部署、職員 ID、インフォームドコンセントの有無、妊娠の有無を書くだけ。
接種直前に、今までインフルエンザのワクチンを受けたことがあるかどうかは訊かれた。

両方受けたいかと訊かれたので、迷わず「両方」と答えた。
噂では左右の腕に同時に「いっせーのーせ」で2人の看護師さんがブスっと刺すという話だったが、実際にはそんなことはなく、右に季節性、左にH1N1を順番に打ってもらった。

こっちでは院内で日本人に会うことは本当にまれなのだが、たまたま隣の人が日本人だった。
彼女は院内でボランティアをしたいのだそうだが、そのためにはワクチン接種が必要なのだそうだ。
彼女はH1N1は痛いので、受けようかどうしようか迷っているとのことだった。

自分の感想としては、季節性の方がはるかに痛かった。
VAS でいうと季節性が75、H1N1が35 といったところか。
さすがに腕はしびれなかったが、季節性は筋肉の奥でじんわりと組織を押しのけて広がっていくような感じがした。

確か、季節性は透明、H1N1は白濁していたような気がする。
H1N1に関しては、目の前で白い粉が入ったバイアルを溶解していた。

帰りにアセトアミノフェン325 mg を2粒渡された。
異常があったら使えとのこと。
おおっ、さすがアメリカっ!

それから、なぜかペロペロキャンディーももらった。
こっちは「さすがアメリカ」というより、むしろ子供の床屋みたいだ。

さらに ID に予防接種を受けたことを示すシールが貼られた。
まるで安全管理研修を受けた時にもらうシールのようだ。

注射をしてから7時間たったが、穿刺部位がまだ痛い。
両腕に同時に予防接種を受けたのは初めての経験だったが、これが最後の経験であってほしいとも思う。

2009年11月23日月曜日

初めてのテニス

11/22 (日) 昼過ぎまで雨 その後はくもり一時霧雨

先週に引き続き、今日もフィットネス・センターに行くつもりでいたら、昼頃コミュニティーセンターから電話がかかってきた。
テニスのレッスンに空きができたとのこと。

先々週の日曜にコミュニティーセンターに行き、テニスのウェイティング・リストに名前を載せておいたのだが、先週の時点で連絡がなかったのですっかりあきらめていたのだ。
レッスン開始まで時間がないので、ダッシュでラケットを買いに行った。
Thurlow Street にスポーツ用品店があるのはチェック済みだ。

1回のレッスン料 22 ドルを支払い更衣室へ行ったが、更衣室のロッカーにはカギがなかった。
先週のフィットネス・センターでは、日本の100円ロッカーみたいなのが25セントで使えたのに。
でも、盗難には責任は持てないって書いてあるし、1日の終わりにはカギを開けて荷物を処分するとまで書いてある。
どうも、自分でマイ南京錠を持ってきて、ロッカーにカギをかけるらしい??

テニスは体育館みたいなところでやった。
コーチは女性で、とてもわかりやすい英語でしゃべってくれた。
Intermediate class ということでついていけるか心配だったが、十分大丈夫だった。

ところがゲームをする時の仲間との意思の疎通は、とても難しかった。
50才代くらいの男性は、「これからがんばろうぜっ」というつもりだったんだろうけれど、自分とハイタッチをしたかったみたいだったが、自分は「あっちいけ」という意味かと思ってたじろいだ・・・なんていうこともあった。
(別の日のことだが、ホームレスがこぶしでグーを出してきた時は殴られるのかと思ったら、彼はグータッチがしたかっただけ・・・なんてこともあった。)

でも仲間がいいプレーをすれば盛り上がるし、今日は自分が奇跡的にサーブやスマッシュを決めることができ、その時は仲間が大いに盛り上がってくれた。
ある意味、スポーツは言葉の壁を越えるということなのだろう。

ボールを集める時は、それ専用の筒があって、筒をボールの上から押し込むと次々と拾えるという便利な道具があった。
ボールを拾うのに、かがむ必要がないってわけ。
おおっ、さすがアメリカ!

カナダに来て以来、初めてテニスができて、とても気分がさわやかだった一日。

2009年11月22日日曜日

Coasta● プリペイドカード

11/21 (土) 朝はくもり 午後から雨

日本を出る時に買った KDD や Softbank のプリペイドカードはとっくに使い果たしたので、先日、日本人がやっている店でプリペイドカードを買ってきた。
たくさんの種類のカードがあるのだが、固定電話にかける時には Coasta● のカードがおすすめだと言うので、それを買った。
30ドル分買って使い始めたところ日本まで 1144 分通話できるとのことなので、これはかなり安いと思う。

ところが使い始めてみて、いくつかの難点があるのに気づいた。
まず、通話先の地域番号の最初の「0」をとるかどうかを含め、かけ方がはっきりと書いていない。
しかも、「0」をつけたりはずしたりしていろいろと試してみたのだが、なかなかかからなかった。

また、いったん電話がかかってからも、話がしずらかった。(結局は「0」ははずした)
相手先ではこちらの声が聞こえているようなのだが、こちらでは相手の声が断続的に聞こえるような状況で、特に自分が話し終えてから数秒間は「不応期」と言ったらよいのかもしれないが、全く聞こえないことが多かった。

印象としては、このカードの回線は「細すぎる」。
コツをつかめばいいのかもしれないが、かなり難しい。
KDD や Softbank のような快適さを求めるには、それなりの投資が必要なのだということを学んだ。

2009年11月21日土曜日

拡張障害みたび

11/20 (金) 昼はくもり、夕方は一部晴れたが、朝と夜は雨

U 先生が拡張障害に関する重要な論文を紹介してくれたので、備忘録として記録しておく。

1) Naguch SF et al. Recommendations for the evaluation of left ventricular diastolic function by echocardiography. J Am Soc Echocardiogr 2009; 22: 107-133. (Guideline)
2) George N et al. Intraoperative assessment of diastolic function: utility of echocardiography. Curr Opin Anaesthesiol 2003; 16: 11-19.
3) Fleisher LA. Implications of preoperative heart failure. Anesthesiology 2008; 108: 551-552. (Editorial)
4) Shanewise JS. Measuring diastolic function with transmitral flow propagation velocity: more than just a pretty picture ? (Editorial)

1 のガイドラインはかなり長いのだが、最後のほうに数多くある指標をどのように利用して拡張能を評価するかという流れ図がのっており、臨床上でももちろん有用だと思うが、これから周術期の経食道心エコーの試験を受ける人はぜひ読んで理解しておくべきだと思う。
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週末を乗り切るために、病院前のM銀行でトラベラーズチェックを現金化してきた。
いつも感心するのだが、窓口の受付の人と2回目以降に会うと必ず覚えていて、前にも会いましたよね・・・と声をかけてくる。
しかも会話の内容まで覚えているのだから、銀行員はみんなたいした記憶力だと思う。

正直なところ、自分は外来の患者さんの顔や名前を覚えるのが得意ではなかったので、うらやましい能力だと思う。
それともひょっとして、努力が足りなかったってこと??

2009年11月20日金曜日

Transmitral Flow Propagation Velocity (続き)

11/19 (木)朝はくもり その後はずっと雨

昨日の U 先生の講演で、Transmitral Flow Propagation Velocity (Vp) の正常値は 0.45 m/s 以上ということだった。
ただ、昨日のブログで紹介した「よくできた日本語のウェブサイト」によるともっと高めの値が正常とされていたので、少し気になっていた。

自分が聞き間違えたのかもしれないと思って今日 U 先生に尋ねたところ、やはり 0.45 でいいと言う。
あいにくテキストを日本から持ってこなかったので調べるのに苦労したが、0.45 の根拠をいくつか見つけたので、備忘録としてここに残しておくことにする。
Khouri SJ et al. J Am Soc Echocardiogr 2004; 17: 290-297.
Dumesnil JG et al. Am J Cardiol 1991; 68: 515-519.
Essential echocardiography: a practical handbook with DVD / edited by Scott D. Solomon, with Bernard Bulwer; foreword by Peter Libby.

大学の e-books が充実しているので助かった。
美しい図表を利用できるのもうれしい。

J 先生の指導の下で執筆している本の締め切りがいよいよ近くなり、J 先生も本気モードになってきたもよう。
自分が S 市立病院の Y 先生の論文指導をした時に、期限付きの宿題をたんまりと出したものだが、今はまさにその逆バージョンということで、宿題がたんまりあってヒーヒー言っているところ。

2009年11月19日木曜日

拡張障害に関する講演

11/18 (水) くもり 夕方から雨

今朝は U 先生による拡張障害に関する講演があった。
タイトルは"Perioperative diastology" だったのだが、"diastology" という言葉があるのをはじめて知った。
「拡張期学」とでも訳すのだろうか。

収縮が正常にもかかわらず拡張のみ異常があるのを "Isolated diastolic HF" という。
Systolic HF は男性に多いが、diastolic HF は女性に多い。

拡張期障害と予後の関係が調べられていて、E/e'>=15 の diastolic HF は有意に生存日数が短い。
周術期に関しては、収縮障害単独では予後は変わらないが、拡張障害があると術後の転帰が悪くなる。
また、拡張障害があると人工心肺からのウィーニングが難しくなるという報告がある。

Doppler tissue imaging および transmitral flow propagation velocity に関する画像提示があった。
後者によって、僧帽弁流入血流波形の normal pattern と pseudonormal pattern を区別することができる。

治療に関しては lusitropic agent が存在しないことから、拡張障害に対する特異的な治療は存在しない。
心エコーなどを用いて綿密にモニターすること、輸液を慎重に行なうこと、心筋虚血を避けるような心拍数コントロールが重要である。

ついでながら、インターネットで調べていたら拡張障害に関してとてもよくまとまっているウェブサイトを発見した。
http://medt00lz.s59.xrea.com/kakuchou/kakuchou.html

2009年11月18日水曜日

なぜか鍋が増えた

11/17 (火) 晴れのちくもり 夕方一時小雨

夕方アパートに帰ったら、共有スペースに洗剤のようなにおいが充満していた。
冷凍庫に張り紙があり、「今日は共有スペースを掃除しましたので、きれいに使って下さいね」といったようなことが、英語で書いてあった。

そういえば風邪で具合が悪かったころ管理人がやってきて、「住人で費用を負担するのなら共有スペースをプロに掃除させてもいい」というようなことを言ってたっけ・・・。
現在はわれわれのユニットには4世帯住んでいて、みんなそれなりに忙しいし掃除はしたくないから、プロにまかせてしまおう・・・ということになったのだった。

まあわれわれが費用負担するか自分たちで掃除をするかの選択ということであれば話はわかりやすいのだが、不思議なのはメキシカンの C 君がゴネて管理人に「管理人の負担で共有スペースを掃除すべき」といったようなことを言ってから、管理人が掃除の道具を寄付していったり、今日は不思議なことに鍋や皿を大量に置いていったりしていることだ。

C 君が管理人とやりあうごとに、いろいろなことが決まっていくことは前に書いた。
それがわれわれ(住人)にとって都合の良い方に決まっていくのはいいのだが、逆に言えばやりあわなければ何も得られずに損をするというわけなのだろう。

日本式サービスに慣れた自分としては、そこがどうもしっくりとこない。
文句を言うことで始めて権利や主張が認められ、言わなければなにもなしっていうのは、社会のありかたとしては未熟で原始的であるように感じられてならない。

これがアメリカということなのだろうが、やっぱり自分にとっては住むのは日本が一番だと思う。

2009年11月17日火曜日

J先生復活

11/16 (月) 一日中雨

毎日毎日雨が降り続けると、傘を使わない日がない。
今日も朝から雨なので傘をさそうとしたらうっかり落としてしまい、手元の部分が割れてしまった。

せっかくだからこっちで新しいのを買おうと思い、帰りに SEARS へ。
さすがに雨ばかり降る土地柄だけあって、いろんな種類の傘が売っていた。

自分は一番売れてそうな、丈夫そうな折りたたみ傘を買った。
税込みで 10.01 ドル。

インフルエンザで倒れた J 先生と久々に研究の打ち合わせをした。
彼と執筆している本をこれからどのように仕上げていくか、それが終わってからの研究プランなどについて話し合った。

彼はいろいろと気遣ってくれているらしく、家族のこととか年末の一時帰国のスケジュールなどについてもたずねてくれた。
彼以外にも胸部麻酔チームがそんな感じみたいで、遠い日本からやってきたオジサン麻酔科医をいろいろと心配してくれているようである。

2009年11月16日月曜日

久々に身体を動かしました

11/15 (日) 一日中雨

昨日、日本語学校のボランティアに行った時に、バンクーバー在住経験の長い人たちにさんざん脅かされてしまった。
これから長い冬が続くが、日照時間は極端に短くなるし雨は降り続くしで、けっこうつらいのだそうだ。

うつ状態になる人も少なくないらしい。
また、それを治療するために家の中で専用のライトを照らす療法もあるのだそうだ。

そう言われたからというわけでもないのだろうが、今朝は雨が降っていて、朝8時の時点でも空が暗かった。
緯度が高くて冬だからなのだろうが、同じ雨降りでもバンクーバーは東京よりも圧倒的に空が暗いと思う。

だからといって暗い空に負けるわけにいかないし、また、最近身体を動かしていないと思い、今日はコミュニティ・センターの中にあるフィットネス・センターに行ってきた。
マンスリー・パスだともっと安いのだが、一回ことに払う場合は入場料は 5ドル25セントだった。

トレーニング室全体の面積は新宿区立スポーツセンターと同じくらいだと思うが、新宿では大きな部屋でみんながトレーニングを行なっていたのに対し、こちらはいくつかのコンパートメントに細かく仕切られていた。
筋トレ用のマシーンに関しては東京とさほど変わらないと感じたが、"Cardio" と称する心肺機能を高めるための機具の数が圧倒的に多かった。

自動的に動くベルトコンベアの上を走ったり、階段昇りの機具とか、エアロバイク、ローイングマシーンもあった。
自分の使いたい機具ごとにスケジュール表があり、そこに30分きざみで自分の名前を書き込み、予約するような感じである。

日本だとタオル(ぞうきん?)が備えつけてあって、各自が使用後にマシーンについた汗をふくのだが、こちらではディスポの紙タオルにスプレーで液体をふきつけ、それで使用後のマシーンを拭くのである。 おおっ! さすがアメリカっ!

それから、日本のどこの公営の施設よりも優れていたのは、バーベルなどのフリーウェイトの種類と数である。
身体の大きいカナダ人に対応するためだろうが、今までに見たこともないような大きなバーベルが大量に備えつけてあった。
フリーウェイトに関しては多少の心得はあるので、自分としてはとても楽しむことができた。

その他、Spinning というエアロバイクのプログラムとかヨガとかいろいろな企画がもりだくさんで、長い冬を楽しむことができそうに感じた。

本日の備忘録
メキシカン C君の彼女によると、1ドルコインを「ルニー」、2ドルコインを「トゥニー」というらしい。
さっき彼女に、「乾燥機使いたいから、ルニー1コ両替してくれない?」と言われ、「???」という感じだった。
実はメキシコ語だったりして・・・。

2009年11月15日日曜日

日本のマンガ文化

11/14 (土) くもり 夕方から雨

日本語学校のボランティアで、今日は地下の倉庫でマンガ本の整理をした。
ダウンタウンのマンガ喫茶がつぶれ、その本が大量に日本語学校に流れてきたというわけである。

マンガ喫茶が閉店前にマンガを売りさばいたということもあり、地下に大量にあった在庫は言っちゃ悪いが「文化の香りのかけらもないような」ものばかりだった。
少年~青年期に読んだ懐かしいマンガ(朝太郎伝、六三四の剣、妻をめとらば、課長島耕作 など)に出会えたのは良かったが、その他は残念ながら読む気の起こらないものばかりだった。

帰りに Robson 通りの本屋に寄って来年の手帳を買ったのだが、そのあと店内をフラフラしていたら、"Art" のセクションに大量にマンガがあった。
「カナダ人もマンガを読むんだ~」と思って近づいたら、タイトルが英語なので一瞬よくわからないのだが、よーく見ると作者はほとんど日本人なのに気づいた。

そういう目でよーく見ると、逆に日本以外のマンガはほとんど見当たらない。
翻訳されて外国で大量に売られるなんて、ジャンルは違うが村上春樹なみのような成功なんだろうと思っていたら、それらのマンガの中心に燦然と "God of the Manga" として手塚治虫の豪華本が売られていた。
もちろん表紙は鉄腕アトムだった。

会話クラブで出会う親日家の若者たちが目を輝かせながら嬉しそうにガンダムやグレートマジンガーのことを語ることからも、マンガやアニメーションは自分が思っている以上に日本の誇るべき文化なのかもしれない。
一冊の単行本を出すことなく夢破れた漫画家の卵たちもいれば、学校の地下の倉庫に眠っていたつまらないマンガの作者がいて、その上に外国で自分の作品を売ることに成功したアーティストがいるというわけである。

日本のマンガ文化はそういう過激なマンガ家たちの競争の上に成り立っており、文化人・芸術家として成功するのはほんのごく一握りなのだ。
プロスポーツなみ、あるいはそれ以上の熾烈な競争の世界なのかもしれない。

2009年11月14日土曜日

冬の訪れ

11/13 (金) 朝は雨 その後晴れ

今日はじめて、North Vancouver の山に雪が積もっているのに気づいた。
昨日は気づかなかったことから、おそらく昨夜のうちに積もったのだろう。

病院からの帰り道が坂の上からダウンタウンを見下ろすような位置にあるのだが、雪の積もった山を背景にハーバーセンターなどの建造物がとても美しく映えている。
今日はカメラを持っていなかったので撮れなかったが、週末にチャンスがあったら写真におさめたいと思っている。

今日のCBC のトップニュースは、バンクーバー冬季オリンピックで女性のスキージャンプ競技を実施することを求めた訴えが退けられたということだった。
http://www.cbc.ca/canada/british-columbia/story/2009/11/13/bc-women-ski-jumpers-appeal-dismissed.html

柔道やレスリング、マラソンの方がよほど女性には過酷だと思うし、同じスキーでも回転や滑降系の競技は女性に開放されているので、ジャンプに関してはダメというのはわかりにくいような気がする。
競技人口が極端に少ないのだろうか。

2009年11月13日金曜日

H.I.●. ふたたび

11/12 (木) 晴れ

年末まで1ヶ月半あるのだが、そろそろ帰国のフライトを確保した方がいいかと思い、今日は H.I.●. に行ってきた。
先日H.I.●.に行った時は、(まあそんなものかもしれないが)旅程変更の控えをくれなかったり、会社名入りの領収証をくれなかったりで、何かちょっとな~という感じだったので、正直なところあんまり行きたい気はしなかったのだが、他に選択肢があまりないのである。

というのも、日本国外発の JA● の航空券をインターネットで確保しようとする場合は、米国またはカナダの住所で登録してあるクレジットカードが必要だというのである。
そんなものは持っていないし、こっちの旅行会社で英語でやりとりするのも自信がないので、H.I.●. となったというわけである。

帰国希望の日を告げたところ、「残り1席ですね」とのことだった。
今日来て正解だったということなのだろう。
ふだんは外国暮らしでも、年末や正月くらいは日本で年越しそば食って、格闘技番組見て、おせち食って、おとそ飲んで、こたつでみかん食って、箱根駅伝見て、筋肉番付見て、年賀状読んだり書いたり、子供たちとふだんはやらない凧上げやったりしてのんびり過ごしたいのは誰もが同じなんだよなあ~。

日本に帰ったらまず、足を伸ばしてゆっくり浴槽につかりたい・・・。
プールのシャワーみたいなところで身体洗ったりするのはいまだに慣れないし、たぶんこれからも決して慣れないと思う。

2009年11月12日木曜日

リメンバランス・ディ

11/11 (水) くもり一時晴れ

水曜日にもかかわらず朝のカンファレンスがない理由が知りたくて、昨日、医局の秘書さんにたずねたところ、リメンバランス・ディという国民の祝日のために病院が休みとのこと。
「だから朝ゆっくり寝てていいんだよ~」とにこやかに言われてしまった。

リメンバランス・ディというのは、日本語で言うと「戦没者追悼記念日」みたいな感じだと思う。
1918年11月11日11時に第一次世界大戦が終結したことに由来しているらしい。
http://en.wikipedia.org/wiki/Remembrance_Day
http://www.cbc.ca/canada/story/2009/11/11/remembrance-ceremonies.html

街を歩く人たちの多くが胸に赤い花(ポピー)をつけて歩いているが、それもこの日と関係が深い。
そういえば現在カナダ訪問中のチャールズ皇太子とカミラ夫人も、セント・ジョンズで飛行機から降りてきた時点でポピーをつけていたっけ。

日本にいると戦争はずっと昔のことととらえられがちだが、カナダでは現在もアフガニスタンに軍人を派遣しており、しかもつい先日も一人亡くなっていることから、現在も進行中のことがらなのである。
しかしその一方で、ラジオ番組では追悼集会への若年層の参加の多寡を論じる声もあったりして、若者の動向が気になるそのあたりはどこの国も変わらないのだと感じた。

今日はリッチモンドまで買い物に行ったが、ショッピングモールはものすごい混雑だった。
ここ2ヶ月ほど運動していなかったので、トレーニング用のシューズを買ってきた。
もう少し咳が減ったら、フィットネスクラブに行くつもり。

2009年11月11日水曜日

EBUS (イーバス)

11/10 (火) 朝はくもりだったが、その後一日中雨

今日は指導教官の B 先生に、endobronchial ultrasound (EBUS) という技術があるということを教わった。
現在自分は J 先生の指導のもとで本の執筆の協力をしているのだが、B 先生は同じ本の別の章に EBUS について書いているとのこと。

EBUS では全身麻酔下にラリンゲアルマスクなどで気道確保を行なった状態で気管内にエコープローブを挿入し、エコーで縦隔リンパ節を観察しながら生検を行なう。
従来の縦隔鏡にかわる低侵襲な手法として期待されている。
http://www.ctsnet.org/sections/clinicalresources/thoracic/expert_tech-40.html

B 先生によると、トロント大学の外科にいる日本人医師が盛んに行なっているらしい。
グーグルで検索してみたところ、確かに日本人医師が指導的な役割を果たしていることがわかった。
http://events.cmetoronto.ca/website/index/SUR0947

胸腔鏡下食道切除術でも日本人が世界で指導的な役割を果たしている。
テクノロジーの進歩と繊細な指先の技術が、指導者としての日本人を必要としたということなのだろうか?
とても興味深い。

2009年11月10日火曜日

復路の変更(H.I.●. にて)

11/9 (月) くもり(昼食時は大雨) 暖かい一日

バンクーバーに来る際に往復航空券を買うか、片道を買うかで悩んだことがあった。
結局は往復を買ったのだが、それが4ヶ月のFIX だったため帰りを12月末に設定した。

ところがいつのまにか話が違っていて、実際は1年間のFIXOPEN だということなので、帰りはもっと先延ばしにしても良いということになった。
その間の一時帰国に関しては、バンクーバー発着の往復を確保するというわけである。

そこでさっき、帰りを先に延ばす手続きをするために H.I.●. に行ってきた。
東京でチケットを確保した時には変更は無料ということになっていたのだが、実際には 15 カナダドルの費用がかかった。
費用を徴収した以上は日本だったら会社名入りの領収証がもらえそうなものだが、こちらではなぜか領収証には会社の名前(H.I.●.)が全く載っていなかった。
なんかちょっとあやしい・・・?

また、来年の夏休みに帰る便も確保できたらしいのだが、年末から来年夏に便を変更した旨を記載した控えをもらうことができないというのも、なんとも不満の残るところだった。
つまり、H.I.●. 社のコンピュータ上のやりとりを全面的に信用するしかないというわけである。

まだ年末までには時間があるが、そろそろ一時帰国のことも考えなければならなくなった。
9月21日にこっちに来て一時帰国まで3ヶ月ちょっとあると思っていたのだが、今がちょうどその3ヶ月の半分たった時期である。
残りの半分で何とか研究のプロトコールを完成させ、さらに英語力もアップさせたいものである。

2009年11月8日日曜日

ほぼ全快しました

11/7 (土) 雨 夕方からくもり

ここ2日間発熱がないため、雨の中だったが日本語学校にボランティアに行ってきた。
いつもは40分位歩いていくのだが、そこは少し慎重にバスを乗り継いで行った。

念のためいつもの咳止めを飲んだ行ったのだが、それが効いたのかあまり咳が出なかった。
働いている間もだるくなることもなく、熱っぽくもなく、好調だった。

倒産したマンガ喫茶から寄付されたという膨大な量のマンガの中から、「レガッタ」(原秀則)1・2・3・4・6巻を借りてきた。(なぜか5巻がない)
帰宅後に体温を測ったが、36.4℃だった。

ほぼ全快ということで良いのではないかと思う。
少し咳は残っているが、やがてなくなっていくことでしょう。

2009年11月7日土曜日

暖房設備復活

11/6 (金) くもり時々雨

体温は35℃台後半から36℃台前半をキープ。
30分くらい出歩いてきても全然大丈夫。
全身状態は悪くないのだが、いつものことながら咳が止まらないのが困る。

大学で勤務している頃、やはり1年に一度くらいはこういうことがよくあった。
清潔な手袋をした状態でレジデントに硬膜外ブロックを指導していたら咳が出始め、どうにも止まらなくなってしまい、患者さんが背中越しに「先生、大丈夫~?」と逆に気遣ってくれるような状況・・・。

夕方、近所のドンブリ屋でテリヤリ丼を買ってきたら、何か部屋が暖かい??
一瞬自分の身体に熱があるのかとも思ったのだが、おそるおそるヒーターに触れてみると、超熱い!
やった、ついに暖房復活!

一時は近所のホテルに避難することも考えたくらい寒かったが、なんとか耐えしのいだという妙に達成感のあった一日。

2009年11月6日金曜日

一難去って・・・

11/5 (木) くもり時々雨  

おとといの時点ではもうそれからの回復を疑わない状態だったが、実はそう簡単にはいかなかった。

昨日は朝7時からの勉強会に参加すべく早起きしたのだが、最初は無理をしない方がいいかと思い早めの午後2時ごろ帰ってきたが、そのころにはすでに身体が妙にだるかった。
さらに悪いことにまだアパートの暖房が回復しておらず、寒くて仕方がない。
しかたがないのでベッドで寝ることにした。

途中、英会話クラブからの電話で目が覚めたが、全部で4時間くらい眠っただろうか。
アパートのサブマネージャーが来るまでずっと眠っていた。
彼女はブランケットをさらにもう1枚、"COLD&FLU TIME TEA" というハーブティーを3パック持ってきてくれた。

「具合が悪いんなら靴下はかなきゃだめじゃない」と言われたが、「日本では靴下はいたままふとんに入っちゃいけないんですよ」と英語で言うだけの CPU メモリが自分の脳ミソには残っていなかった。

そのあと熱っぽいので体温を測ったら、なんと 38.7 ℃ !
測らなきゃよかった。
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前にこのブログで、自分のまわりはみんな元気な人たちばかり・・・と書いたが、昨日は自分の直接の指導医である J 先生がインフルエンザ(のような症状)で倒れるという事件があった。
自分が彼がいるはずのオペ室に行ったら、彼がいない代わりに若い麻酔科医がいて、「さっきまでいたんだけどインフルエンザになって帰ったよ」 と教えてくれた。

ものすごく驚いた。
と言うのは月曜日に会おうという彼の申し出を、自分の体調が悪いからと言う理由で延期してもらっていたからである。
しかも自分がその日の夜には発熱していたことを考えると、もしも彼がこの日にいたら自分がウイルスを撒き散らすことで彼の具合を悪くしていたかもしれない。
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今日は無理せず病院には行かないことにした。
体温は一貫して36℃台が続いている。
"Robitussin" というまずい咳止めの味にもすっかり慣れ、咳が減ってきたように感じる。
アパートの暖房が復活すれば、もっと状況は良くなるはずだと思う。

いよいよエピデミックが身近な問題として感じられ始めてきた。

2009年11月4日水曜日

医療機関訪問

11/3 (火) 晴れ

全身状態はかなり良くなってはいたのだが、昨日がものすごく寒かったこと、アパートの暖房設備が停止したことから、寒気が強くしかも咳が止まらなくなってしまった。
咳が止まらないのはとにかく苦しいので、今日は渡航前に契約した保険会社のつてで医療機関にかかることにした。

今日は比較的に冷静なためか体温計を見つけることができた。
36.9 ℃だった。
それでも熱っぽい感じはないことから、一時期はもっと高かったのかもしれない。

まず保険会社に相談しなければならないが、北米のほとんどの都市に関してはヒューストンの日本語窓口にかけることになっていた。
そこで各都市の日本語の通じる医療施設の情報が提供されるというわけである。

基本的には日本語でのやりとりとはいえ、外国語の施設名や住所のやりとりを電話でやるのは難しい。
そこで念のためにメールでも情報を送ってもらうことにした。
ただメールアドレスを正確に口で伝えるのも大変だったが。

イギリスやカナダのように医療が国民に基本的に無料で供給される国では簡単に医師にかかれないという印象があったので、その日のうちにかかることができたのは自分にとっては意外だった。

実際に行ってみると事務員の半分くらいが日本語の通じる職員で、その点はとても助かった。
しかし12時半に到着したものの診察してもらったのが2時半くらいだったので、2時間待ちだった。
もっとも自分のペイン外来でもそのくらい待てせてしまうことはよくあったが・・・。

医師が何人かいる中の一人が日本人ということで、正直なところ「地獄に仏」と思ったが、いざ話してみると「日本人の苗字を持つ、日本語が多少わかる医師」という感じだった。

自分が「先週の木曜の夜から全身倦怠感が・・・」と話し始めると、先生が「5日前から・・・、『せんしんけん・・・?』ってなに?」とおっしゃるような感じで、自分が日本語の医学用語を英語で説明するような珍妙な局面があった。

呼吸音の聴診では、「肺は大丈夫」とのことで安心した。
咳とかのどの痛みとか首より上の症状が中心の場合は、まあカゼでしょうと・・・。
Flu (インフルエンザ)の場合は全身の症状が強くて体中が痛くなったりするから・・・とのことだった。

実にあっさりした診察で、咳止めを出してくれるというのでそれを処方してもらった。
「風邪には抗生剤は効かないからね」と、当たり前のことをずばりと言われ、しかも本当に処方しなかった。

アパートの暖房はまだ復活していない。
けれど、たぶん隣のメキシカンの C 君の強い押しがあったためか、各部屋にブランケットが配給された。
C 君とアパートの経営幹部のやりとりを見ているとかなりはげしくやりあっているのだが、最後にはいい線に落ち着きつつしかもお互いに傷ついていない。

英語のできない自分に彼らを批判する資格はないのだが、もっとスマートに問題解決できないものかともどかしく思ってしまう。
しかしこれがアメリカ流なのかもしれない。

2009年11月2日月曜日

最強の獲得免疫(?)

11/1 (日) 晴れ サマータイムが終わるため今日は1日が25時間

先週の木曜日がとてつもなく寒く、ちょっといやな予感はしていたのだがすっかり体調をくずし、金曜日はすっかり寝込むことになってしまった。
眠いというわけではないのだが、身体が思うように動かないのである。
とにかくだるく、日中(午前7時~午後5時)の間だけでも7時間は眠ることとなった。

関節痛や筋肉痛はなかった。
アパートの3階に住んでいるためか、地下の洗濯機・乾燥機置き場との往復があり、両下肢の筋肉の疲労感は多少あった。
鏡でのどを見ると、口蓋扁桃が真っ赤だった。

こういう時のために体温計を買っておいたのだが、スーツケースの中や常備薬置き場など、いくらさがしてもない!
6月のバンクーバーの学会出張にはしっかり持っていったのに!

自分の最近の人生20年間の中では史上2位の具合の悪さであることから、慣れない異国の地でいくら日本語サービスがあるとはいえ、保険会社や医療機関に連絡するのは得策ではないと判断した。
幸いなことに高熱があるという実感はなかったため、とにかく現状より悪くしないことを目標に、風邪薬だけはしっかり飲んでじっと耐えることにした。

最悪のシナリオは脳炎と心筋炎の合併だ。
TEE の講習会でインフルエンザ心筋炎の動画を見た記憶が蘇る。

夜はともかく、昼にベッドでじっとしている時は、電灯とラジオをつけっぱなしにし、部屋のカギを開けておくことにした。
幸いなことに自分の部屋のドアには大きなガラス窓がついているので、もしも自分の意識が混濁したような場合、深夜になっても電灯が明るくラジオがついていれば、誰かが気づいてくれるものと淡い期待を持った。

ムコダインが効いたのか、深緑色の痰が多量に排出された。
こんな状態で全麻のオペを受けることになったら、呼吸器合併症は必発だ。

土曜日は多少は回復したが、それでも日中に5時間は眠った。
両上肢に痺れを感じることがしばしばあった。
自覚しない呼吸困難感を代償するための過換気状態か、あるいは電解質異常か?

あまり食欲はないのだが、何か食べて飲まないとダメになってしまうと思い、無理やり夕食を摂った。
これ以降、両上肢のしびれは出ていないので、電解質異常だったのだろうか?

今日は幸いなことに、日中はずっと起きていられた。
明らかに回復徴候。
咳が出てのどが痛いのだが、普通の風邪という感じ。

本当につらい週末だった。
これがインフルエンザだったかどうかはわからないが、今となっては最強の免疫を獲得したのだと思うよりほか仕方がない。

日本のことはよくわからないが、カナダでは今、ワクチン接種をめぐって一部でパニックに類似した状態になっている。
http://www.cbc.ca/canada/story/2009/10/31/swine-flu-clinics.html

「65才以下の慢性疾患のある患者とあたしたち妊婦が優先だっていうから来て5時間も待ったのに、ようやく玄関先まで順番が来たところでもう終わりってどういうことっ?!」
という怨嗟の声が、CBC のラジオから流れてくるのがわかった。

本当に一日も早い終息を祈るばかり。

2009年11月1日日曜日

ハロウィンのできごと

10/31 (土) 晴れ

今日はハロウィンで、街をいろいろな格好をしている人たちが歩いている。
これまでの自分の知識では仮装するのは子供たちだけで、子供たちのお祭だと思っていたのだが、意外にも20~30代くらいの大人も仮装していた。

近所の韓国料理屋では、店員がピンクの衣装を着ていた。
高橋留美子のアニメに出てきそうな格好。

マックでは魔女のような格好をしている女の子たちが食事をしていた。
なんか、秋葉原がなつかしい。

さらに驚いたのは、アパートに戻ったら見知らぬ若者男女4人が自分のユニットの共用スペースで、チゲ鍋のようなものを囲んで宴会をしていたことである。
彼らはたくさんの言語を操るようだが、自分の姿を見たら「おじゃましてまーす」と流暢な日本語であいさつしてくれた。
メキシカンの彼女が帰って来た時は、「ハーイ」と言っていたが・・・。

ハロウィンでは、こういうのもアリなんだろうか?
どこからどこまでがいわゆる「ハロウィン」なのか、さっぱりわからない。
ますます観察していかねば。